こんにちは、オーストラリアのブリスベン在住、看護師ママのMakiです。
「最近、オーストラリアのワーホリが稼げるって噂だけど、日本の看護師の経験を活かしてオーストラリアでも看護師として働きたい!」
「オーストラリアに留学したいけど、どんな準備が必要なの?」
今回は、オーストラリアで看護師として働きたい、オーストラリアに留学してみたいといった方向けに、私の留学と看護師資格取得の体験談を話します。
フィリピン留学:IELTS対策
オーストラリアに留学するのになぜフィリピン?と思われる方もいらっしゃると思います。実はフィリピンには多くの語学学校があり、英語を格安で学ぶのに最適な場所なんです。
私が通った語学学校はフィリピンのセブ島という場所だったのですが、学校に寮が併設していたため、3食付きで勉強に集中するには最適でした。朝6時から夕方まで授業があるので文字通り英語漬け生活です。イギリスやオーストラリアなどの留学に比べて費用が半分から3分の1ほどに抑えられます。語学学校ごとに、General EnglishコースやTOEIC対策コースなど特色があるので、費用を抑えて効率的に英語力を上げたい方におすすめです。日本からの生徒もいましたが、韓国人がダントツで多かったです。
私はオーストラリアに留学する前にIELTSのスコアをなるべく上げたかったので、IELTS対策をしている語学学校に通いました。当時の私の英語力はとても低く、TOEICは500点程でした。看護師として急性期病院の一般病棟で働いていたため、なかなかまとまった時間を英語学習に充てられませんでした。一応単語帳は何周もして例文まで全て暗記、中高で学んだ文法も一通り復習はしてからいきました。オンライン英会話もしていましたが、IELTSに特化したスピーキングやライティング対策は全くといっていいほどできていませんでした。
IELTS(アイエルツ)
British Council(ブリティッシュカウンシル)が出している英語の試験。4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)から構成されていて、公式スコアは留学や海外移住の際に使える。1から9までバンドがあり、IELTS7.0レベルはざっくり言うと英検1級、TOEIC満点くらい。
フィリピン留学を6ヶ月でIELTS6.0にまで上げることができました。
オーストラリア留学:語学学校
私はオーストラリアの大学附属の語学学校に合計6ヶ月通いました。
日本の大学と違い、留学生がオーストラリアの大学に入学する場合、入学試験はありません。
必要な英語のスコアがそれぞれのコースで決められているので、その必要条件を満たしていれば入学できます。看護コースはだいたいIELTS7.0レベルが必要です。
IELTS7.0を取得してストレートで看護コースに入学できればよかったのですが、私はIELTS6.0だったので、大学附属の語学学校と看護コースのコンディショナルオファー(条件付き入学許可)をもらいました。大学が指定した語学コースを受けて卒業できればIELTS7.0と同じとみなされるという仕組みです。
語学学校では大学入学に向けた実践的な英語を学びました。授業でのメモの取り方からエッセイ(論文)の書き方や引用文献の仕方などを丁寧に教わったおかげで、大学入学後はスムーズに勉強に取り組めました。
語学学校のクラスは中国人が多かったので中国語が飛び交うこともありましたが、先生が注意してくれたりしたので不満に感じることはなかったです。
オーストラリア留学:大学
私は日本で看護大学を卒業していたため、Graduate Entryという2年間のコースに入学しました。(通常オーストラリアの大学は3年で卒業)
Graduate Entryは、オーストラリア内外からさまざまなバックグラウンドを持った大卒の生徒たちが集まっていて、平均年齢は少し高めです。私のような自国で看護師をしていた人もいれば、ビジネスなど全く異業種をやっていた人もいました。
オーストラリアの大学は2月と7月に入学でき、私は語学学校卒業の関係で7月入学でした。2月入学が一般的とされていますが、私は特に不自由さは感じませんでした。
オーストラリアの大学に留学して驚いたことは、わざわざ講義のために大学に行かなくていいこと。講義は録画されたものがすぐにアップロードされるし、質問もオンラインでできるので自宅にいながら勉強ができます。もちろんチュートリアル(少人数授業)やラボ(実験室)などの授業は出席をきちんと確認されます。
私は日本の看護大学を卒業したため、看護実習に対して嫌な思い出がたくさんあるのですが(笑)、こちらの実習はすごく学生さんウェルカムな感じで楽しかったです。実習では一人の看護師について実際に患者を受け持ちます。驚いたのはバイタル測定や保清ケアだけでなく、血糖測定やミキシングや与薬などもやらせてもらえたことです。与薬する際には、薬効や注意点などを一緒に働いている看護師に説明できなければいけませんが、わからない場合はすぐに調べれば大丈夫です。4人の患者を受け持つので(オーストラリアは看護師対患者は1:4)もちろん多重課題にもなってきますし、日本の看護実習と比べて実践的だなと思いました。
もちろん関連図など書かされたことは一度もありませんし、実習後の振り返りはディスカッションだけでした。(しかもランチ食べながら)日本の看護実習を経験した身からすると拍子抜けするくらいです。ただし、看護実習がある期間にも課題提出やテスト期間が被ったりすることがあったので、課題をあらかじめ進めておくといった時間管理は必要でした。
1学期目はPathophysiology(病態生理学)とPharmacology(薬理学)があったので結構大変でした。看護大学を卒業して看護師としての経験もそこそこあった私でも、これら全てを英語で覚えて説明できるようになるのは骨の折れる作業でした。
アサイメント(課題)はテストやエッセイを書いたりする個人プレーのものから、(魔の)グループアサイメントといって数人で1つの課題を仕上げるといったものもありました。病態生理学の教授がすごく授業の上手い先生で、毎回授業が楽しみでした。
大学指定の教科書を数冊買いましたが、今考えるとぶっちゃけ買わなくても行けた気がします。大学のホームページにアクセスすれば、全ての授業のレジュメやパワーポイントを見れますし、引用文献も大学の図書館のホームページにアクセスすれば全て手に入ります。
2年間のコースはとても濃密であっという間に過ぎていきましたが、大学で出会った貴重な友人たちとは今でも連絡を取り合ったりしています。
正看護師資格取得
日本人がオーストラリアで正看護師(Registered Nurse)資格を取得するには2つの方法があります。
① オーストラリアの大学の看護コースを卒業し、IELTS7.0のスコア提出。
② NCLEX(看護師国家試験)とOSCE(臨床試験)に合格する。IELTS7.0のスコア提出。
つまり、どう足掻いても英語の試験からは逃れられません。私は帰国子女でもなく一番真剣に英語を勉強したのは大学受験という生粋の純ジャパなので、英語は苦労しました。せっかくオーストラリアで大学を卒業したのにIELTS7.0が取れなくてしばらく英語の試験を受けてました。友人の中には在学中にOET Bレベルを取得した人もいましたが、なかなかIELTS7.0が出せず苦労している人も多かったです。これから留学される方は私のようにならないよう、しっかり在学中に英語の試験対策をするようおすすめします。(笑)私が受けた試験はPTEといってIELTSと比べて比較的新しいテストでした。PTEについてはまた別の機会で触れようと思います。
IELTS7.0レベルを取得できたあとは、いよいよ看護師登録です。Australian Health Practitioner Regulation Agency(Ahpra)という機関にアクセスして、必要書類を提出します。登録の手続きは全てオンラインです。オーストラリアの大学の成績証明や英語のスコアの他に、日本で看護師の場合は、看護師免許を厚生労働省から直接Ahpraに送ってもらう必要があるため余裕を持って準備することをおすすめします。
看護師登録料は当時で263ドルでした。(高い)日本の看護師免許は生涯ライセンスですが、オーストラリアは毎年免許更新で180ドルほど支払いがあります。余談ですが、コロナの時にあれだけ医療者たちを英雄扱いしてたくせに免許更新料だけはしっかり徴収されました。
必要書類を提出してから3週間ほどで登録完了のお知らせがメールで届き、看護免許証はオンラインで確認することができました。これで晴れてオーストラリアの正看護師になることができました。
看護師登録が完了したときはオーストラリアの大学卒業より嬉しかったです。日本で大学4年生の国試前に先生から「国試に落ちたらただの人」というありがたーいお言葉があって(たぶん看護学生みんな言われるやつ)、「オーストラリアで看護師登録できなかったらただの人になってしまう…!」という焦りがあったからでしょう。
これでフィリピン語学留学から始まったオーストラリアでの正看護師登録は無事終わりました。といっても当時は看護師としてやっとスタートラインに立っただけで、就活やら永住権取得への茨の道がすぐ目の前にあったんですが。それはまた別の記事で触れていきます。
これから留学を目指す方やオーストラリアで看護師になりたい方の参考になれば嬉しいです。
Have a nice one!
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